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SFAとERPの連携を検討する際の勘所

SFAとEPRの連携を検討する際の勘所

今回はある程度の規模の会社にてよく要件として挙げられる”ERP連携”について取り上げたいと思います。
“ERP”自体の説明は情報が多くあるので本コラムでは割愛し、今回は「SFAとデータ連携したい」という状況における”ERP連携”について解説します。

SFAとの”ERP連携”に出てくる”ERP”は販売管理システムとほぼ同義

上述のように、「SFAとデータ連携したい」という要件が出る場合、経験上大きく下記の4つに集約されます。

  • 受注情報をERPに自動転記したい
  • SFAで出荷状況、入金状況を把握したい
  • SFAで在庫情報を把握したい
  • ERPにある会社や製品などのマスタ情報を使いたい

つまり、表現上はERPなのですが、SFAという言葉が出てくる議論の場でのERPは、販売管理システム(受発注・在庫管理システム)と同じと考えても差し支えないでしょう。

ポイントはERPのデータ粒度・範囲を理解し、連携対象を検討すること

「SFAとデータ連携したい」という要件は、一般的に人を介さずに自動化することを目的としています。しかし、ERPとSFAにおけるデータの粒度・範囲の差を理解しないまま連携を行うと、期待した効果が得られない可能性があります。

ERPは概念的には企業におけるあらゆるデータの一元管理を目的としていますが、実際には財務処理に必要なデータのみを扱っている場合が多いため、SFAで管理しているデータとは粒度や範囲が異なることがあります。そのため、単純に項目レベルでデータを連携しても、SFAからするとごみデータ(使えないデータ)が増えてしまい、SFA自体が使い物にならなくなる恐れがあります。

会社マスタ連携の考慮事項

コンサルティングを行っている中で、多くの方々がERPに会社情報があるため、SFAで会社情報を別途入力する必要がなく、ERPとの連携により自動化が実現できると考えている(個人的にはほぼ100%)状況です。このように、「ERP連携」という要件が自動化を促進するための重要な要素となっています。ただし残念ながら上述の考えで成立するのは

  1. 取引済みの会社だけ管理していればよい
  2. 営業先と販売先と納入先が同じ
  3. 営業管理で使う会社の属性情報がERPにすべて存在する

という場合にのみに限られます。
まず、”Ⅰ”について詳しく見ていきます。ERPを販売管理システムとみなす前提で話を進めますが、販売管理システムには過去の取引実績がある会社情報が存在しますが、未取引の会社に関する情報は基本的には存在しません。そのため、新規顧客開拓を行わない場合や未取引の会社に関する商談報告や案件管理が不要な会社には適用できます。このような場合は、SFAの運用は必要ないという議論になるでしょう。
次に、”Ⅱ”に関してですが、これは原料などを販売するメーカーに多く当てはまります。営業先は、その原料の導入意思決定をし、完成品を製造/販売する会社です。一般的に、このような会社を営業組織では「エンドユーザー」と呼びます。一方、販売先は、エンドユーザーと取引のある商社であり、自社が原料を納入する先は、エンドユーザーのOEM工場などとなるケースがよくあります。販売管理システムでは、実績データのみを扱うため、マスタ情報としては販売先と納入先のみが存在します。そして、エンドユーザーはマスタには含まれず、受注データ内の備考欄などに予備的なメモが記載されることが一般的です。
最後に、”Ⅲ”についてです。販売管理システム会社において、マスタでは住所や口座、取引相手の担当者など、受発注業務に必要な項目のみを管理していますが、SFAではそれらの項目は不要とされる一方で、施策立案や動向分析に必要な業界や会社規模などが必要とされます。

上記内容をふまえて、SFAで必要な情報でERPに存在しないものをおおまかにまとめると、以下のようになります。

  • 未取引の顧客情報
  • 営業先にもなるエンドユーザー情報
  • 営業管理に必要な項目(通称マーケティング項目)

したがって、これらの情報をSFA上でユーザが管理・維持する必要があります。残念ながら会社情報に関しては、ERPとの会社情報を自動連携してもSFAとしての会社情報管理要件は満たせません。会社情報連携は、あくまでも「受注情報の自動転記」のための必要要素と位置付けるべきです。

製品マスタ連携の考慮事項

製品に関しては、通常、販売管理システム上で製品コード(一意の識別番号)が割り当てられており、基本的には販売管理システムを正とし、一方向の連携をすれば十分です。ただし、以下の2点に関しては、しっかり検討していただくことを推奨します。

販売管理システムに存在しない製品の扱い

メーカーであれば販売前の新製品は正式販売後に、商社であれば新しく取り扱う予定の製品などは、諸々の契約が終わった際、実績として販売した時に、販売管理システムに製品マスタとして登録したりします。

一方、営業はもっと前の段階で顧客へ提案活動を行いますので差異が生じます。このような場合の運用を事前に詰めておく必要があります。よくあるのが提案段階(案件管理・見積)では、「999999」などのダミーコードを持った”未登録製品”として管理し、SFA側での受注処理において、この”未登録製品”は選択不可にし、販売管理システム側で新しい製品マスタデータが登録・連携されて、受注データを登録できるようにすることで同期を実現できます。

販売管理では管理不要な製品階層・項目の扱い

販売管理でも製品分類や集計時の利用を意図した項目などがありますが、経験上、販売管理に保持している付加情報は、大抵SFAではそのまま使用できません。理由は、販売管理はあくまでも会計上の目的で分類化してあることが多かったり、付加項目を持てる数に制限がある場合は、ある項目にいろいろな要素(サプライヤ略称だったりブランド名だったり)を詰め込んでいて、MECEでなかったりします。そのためSFAでは営業活動やマーケティングでの利用を目的とした製品分類や付加項目を改めて管理する必要があります。

最後に連携方法に関してですが、製品マスタは特性上、更新頻度が高くないので、必ずしも自動連携が必要というわけではありません。大抵、今のシステムにはCSV/EXCELでのエクスポート・インポート機能があるので、それを用いて定期的に手作業で行ってもほとんど事足りるでしょう。

その他マスタ連携の考慮事項

会社、製品以外に関しては、例えば、組織・社員などは、おそらくSFAと販売管理システム以外に様々なところ(メールアドレス、入管カードなど)で社員増減に関する作業がありますので、よほど大きな会社でなければそこまで連携を意識せず、組織、社員増減時にやることリストの一つのとして加えるのが無難かと思います。
 また、通貨、倉庫などのマスタは、製品マスタよりもさらに更新頻度が低いので、基本は都度手作業でSFAに登録すれば良いと考えられます。ポイントは、マスタ情報の更新頻度とその量、そして開発に必要な費用対効果を踏まえて判断することが望ましいでしょう。

受注連携、在庫引き当て連携の考慮事項

マスタ以外での連携として多いのが、販売管理システムにおける受注業務と在庫引き当て業務です。この考慮事項は非常に細かくなる可能性があるため、割愛しますが、連携の頻度、つまりリアルタイムなのか、日次処理で良いのかといった点について考慮する必要があります。リアルタイムの場合は、各システムでそれが実現できる仕組みが備わっているかどうか?という現実性の観点から検討することをお勧めします。

以上、少し長くなってしまいましたが、SFAをより活用するためにERP連携(本記事では販売管理システム連携)をご検討されている方にとって参考になれば幸いです。

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