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BtoBマーケティングにおけるディスプレイ広告の使いどころを考える

BtoBマーケティングにおけるディスプレイ広告の使いどころを考える

一般的にデジタルの世界では検索広告と並んで使われるのがディスプレイ広告です。今回は、BtoBマーケティングにおけるディスプレイ広告の使いどころについて、弊社経験を元にご紹介します。

ディスプレイ広告を指す範囲

本記事をご覧になっている方によっては、ディスプレイ広告というとYahoo!やFacebookなどに出てくるバナー広告を想像するかもしれません。本記事では、基本的には特性は同じのため、今回は街で見る看板やタクシーなどで見る動画広告など、潜在顧客が意図的に情報を探しに行かず、何気なく視覚的に目にする広告すべてを対象とする広義の意味として、ディスプレイ広告と定義します。

ディスプレイ広告のターゲット(誰に訴求するのか?)

検索広告の主なターゲットは、何かの情報を得るために検索行動をとるぐらいですので、ニーズが健在または、その一歩手前の段階の人がターゲットとなります。これを健在顧客とします。一方ディスプレイ広告は、潜在顧客。つまり、近い未来か遠い未来かはわからないが、いずれニーズが顕在化しそうな人がターゲットになります。潜在顧客は理論上、製品を買ってもらえそうな全ての人となるため、マーケット全体とも言い換えることもできます。

ディスプレイ広告の特徴

特徴① 訴求範囲が広い

潜在顧客が見そうなサイト、SNS、場所などに広告を出すため、非常に広い範囲でターゲットに訴求できるというのが特徴となります。

特徴② 中身よりも見た目

一方で、サイトやSNSであれば、そもそもメインのコンテンツ。実世界では風景・人・自分のスマホなど、視界に入るすべての物の中から広告を見てもらう必要があります。おそらく静止画ならコンマ1秒。動画などでは、最初の数秒で興味がわくような広告でなければ、目にすら止めてくれなくなるため、広告自体は、中身よりも見た目(印象)が重要になります。

ディスプレイ広告の目的

上記の特徴から、ディスプレイ広告を出す目的は下記に大別されます。

目的① 潜在ニーズを駆り立て衝動買いを促す

サイトやSNSを何気なく見ているときに多くの方は日常生活で自分の関心ごとと関係しそうな情報がパッと目に入った時に、ついクリックして、広告を開き、そして、買ってしまうという経験があるでしょう。例えば、私の場合は、ずっと髭が濃く、毎日剃るのが面倒だなと何気なく思っている(深刻ではなくたまに思うくらい)の中で、たまたま髭脱毛のディスプレイ広告が出てきて、つい見てしまいました。そして個人消費の場合は、「BtoBでの購買とBtoCの購買の特性の違いを知る」でも記載したように、基本的には自分で購買決定権を持っているため、一定数の割合で、比較検討することなく、購買に繋げることができます。所謂衝動買いというものですね。

目的② サブリミナル効果(刷り込み効果)で選ばれやすくする

サブリミナル効果とは、人間は、無意識下で見た情報・聞いた情報などは一定期間記憶しているらしく、そしてそれを何度も触れるとより深く脳内に記憶されるため、その情報が、いざ何か意思決定をした際、無意識のうちに一つの決定要素として働くというものです。購買行動において、わかりやすく言えばメーカーの異なる同じ製品が二つ並んでいた時に、片方が印象に残る歌・フレーズ・タレントなどでCMを出していたら、そっちを選ぶというものです。もっと簡単に言えば、判断に迷ったときに選ばれる確率を上げるための認知度向上が目的となります。

ディスプレイ広告のデメリット

世の中に万能な物はないため、ディスプレイ広告のデメリットも理解していただく必要があります。

①効果測定がしにくい

ディスプレイ広告の課金は大きく、下記3つがあります。

種類補足
広告枠を購入期間、場所、大きさ、動画なら長さなどあらかじめ広告枠を購入します。
インプレッション課金広告の表示数によって広告費を消費します。
click課金広告のclickによって広告費を消費します。

click課金を除いては、本当にターゲットが見てくれてるのかがわからない。正確には、何か行動につながったかどうかがわからないため、費用対効果が非常に見えづらいのがデメリットです。おそらく、TVや雑誌の広告枠が売れなくなりどんどん安くなっている原因の一つは、当然、それらを見る人が少なくなっているのもありますが、見てくれたとしてもその費用対効果がわからないため枠を買わなくなっているのかもしれません。

またディスプレイ広告を見て、即購入をする人は一定数いるかもしれませんが、最近では多くの人はニーズ喚起された後、検索エンジンやSNS、ECなどでそれに関する情報を調べた後に、購入に至ります。そのためディスプレイ広告の多くは、ニーズ喚起には役に立ちますが購買に直接つながらなくなっているため、効果が非常に測定しづらいのが現状です。分析ツールではメディアを跨いだコンバージョンなどは測定できるようにはなっていますが、掘り下げが複雑なのと、必ずしもメディアを跨いだ行動履歴が正確にとれるものではなかったりもします。

クリエイティブ制作にコストがかかる

上述の特徴②のようにぱっと見勝負なので、デザインや動画制作をどうしても外注せざるを得なくなり、そうなると費用も時間も余計かかってしまいます。もしタレントを起用するならそのギャラなども当然、必要になってきます。

ディスプレイ広告の使いどころを考察する

上述の特徴や目的、デメリットを踏まえ、BtoB商材におけるディスプレイ広告の使いどころをいくつかご紹介させていただきます。

問合せ獲得のために利用

BtoB営業組織としては、検索広告同様に問合せを獲得する際に利用したいと思うのが自然でしょう。しかし、ディスプレイ広告でも同様の効果を出すことができますが、BtoBの場合、衝動買いがないため、潜在ニーズを引き出せたとしても、基本的には合い見積もりが必要となり、また、スペックなど詳細な情報を得るために検索行動をほぼ100%行うため、場合によってニーズ喚起だけして、競合に顧客を渡すという自殺行為につながるリスクもあります。

そして、検索広告は確率論で言うと数%の世界ですが、ディスプレイ広告は0.数%の世界になりますので、そもそもターゲットとなる母数が少ないBtoB商材においては認知すらされない可能性も非常に高いです。これらを踏まえると、BtoBの世界において問い合わせ獲得として使うのであれば、ターゲットの裾野が広く、そして競争力の高い、またはライバルが少ない製品以外でなければ、個人的にはあまりお勧めしません。

例えば、弊社が代理販売しているサイボウズ社のkintoneなどは、5人以上の組織でであればターゲットとなり、日本の製品では実績1位。海外製品と比べると価格メリットを出せることからディスプレイ広告に非常に向いている製品です。その他にも人事とか会計とか裾野が広い商材など、すそ野が広く、その中で、競合と差別化できる要素があれば相性が良いかもしれません。

認知度を上げ、比較検討段階における保険として利用

BtoB商材の購買においては、直接その商材を利用する人だけでなく、ご意見番のような人がいたり、間接部門などのように実務ではその商材とは一切関係ない役割の人も購買に携わることになります。そのような役割の人は、直接商材を選ぶ人に比べると、圧倒的にその商材または会社に関する情報が少なく、そして担当営業がどれだけ親身に協力してくれているか?などは当然把握できないため、性質上、表層的な情報を元に、賛成・反対意見を出すことになります。そのため、数ある会社から自社を選ぶ理由として、サブリミナル効果が発揮、少なくとも聞いたことある認知度があれば、反対意見を出しにくく出来る可能性があります。

ただし、認知度は非常に計測しにくいため、認知度目的でディスプレイ広告を出すのであれば、例えば、採用活動などのアンケートなどで、広告を見たことあるかどうか?の質問などを入れて、広告の浸透度合いを定量測定できるような仕組みも同時に用意しないと、よくわからず「とにかく広告費を垂れ流し続ける」いう状況になるので、注意が必要です。

敷居の低い効果(コンバージョン)獲得のために利用

以前、某計測器メーカー様が他のベンダーに委託し、Facebook広告を出し続けていたのですが、問い合わせにつながらず困っているという相談を受けました。そこで、本記事の内容の情報を提供をした上で、お客様と議論をした結果、サイトの会員数増を目的として2週間限定で、「今会員登録すると、限定〇名様に、XX(そのお客様の1万円以内で買えるハンディ型の計測器)をプレゼントという形で、広告を出してみました。その結果、普段は検索エンジンからの流入や、日々の営業活動で、毎月30名ぐらいの会員登録しかなかったのですが、2週間で300名以上会員数を獲得できました。つまり約1年分の会員数を2週間で獲得できました。そしてその大部分はターゲット顧客でした。

これは、

  • 問い合わせではなく会員登録をディスプレイ広告の期待効果と設定したことで行動の敷居が下がった
  • 期間を限定したことで行動すべきタイミングを今にする
  • 行動モチベーションとなるメリットの提示、そしてそのメリットがターゲット以外には不要な物

という状況がうまくかみ合って結果につなげることができたと考えられます。なので、行動の敷居を下げるコンバージョン受け皿があり、そしてターゲットとの相性が良いメリットの提示ができる場合は、非常に効果的な施策だと考えられます。

以上、ディスプレイ広告は効果を出せる条件が揃えば、効果が高い手法ですので、是非、ご検討いただければと思います。逆に言えば、条件が揃ってなければ、検討をしなくても良いとは個人的には考えています。

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