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SFAを取り巻くIT用語独自解説 ~ BI ~

SFAを取り巻くIT用語独自解説~BI~

システム導入の支援をしていると、時折、お客様の担当者や責任者がITに対して過度な期待を持っており、実際に導入段階や運用段階になると、当初の期待と現実とのギャップを認識し、落胆してしまうことが起こります。
このようなことが起こる原因の一つとして、ITに関する用語がニュースや広告などに出てくる頻度が非常に多いため、その技術や手法に関する良い面だけを見て知識を十分持っているつもりになっていることが挙げられます。
「知識を持っているつもり」となってしまう原因として、各種メディアでの伝え方があるのではと考えています。メディアで伝える情報は、視聴者や読者に興味を持ってもらうこと、そして情報提供者であるスポンサーを満足させることが必要であるため、“成功物語”や“明るい未来”のような良い面のみを訴求し、成功の前提条件やそこに至るまでの過程などが省略されてしまうので、断片的になってしまいます。この一方的かつ断片的な情報がありふれている状況だと、どうしてもITに対して「知識を持っているつもり」になってしまうリスクがあります。

そこで本ブログでは、SFAを取り巻くIT用語についても私の見解を元に解説していこうと思います。

BI

今回は、SFAと切っても切り離せない“BI”です。“BI”は、Business Intelligenceの略であり、ビジネスにおいて意思決定に役立てる手段や技術です。その手段を実現するシステムを一般的に“BIツール”と呼びます。
“BI”の目的はあくまでも「意思決定に役立てる手段の提供」であり、その目的を果たすための数ある手段の1つとして、ダッシュボード機能があります。あくまでも筆者の感覚ですが、“BI”を「カッコいいダッシュボードが表示できるシステム」と捉えている方が多いのではないでしょうか。
また、ベンダーからの紹介資料やビデオは、カッコいいダッシュボードサンプルがこれでもかと出てきますので、“BIツール”を導入すれば、すぐにダッシュボードが構築でき、ダッシュボードを見れば、正しい意思決定ができると勘違いしてしまうのではないかと考えられます。しかし、多くの営業組織で“BIツール”を導入しても、運用段階でダッシュボードは使われず、予実管理(目標の実績対比表)のみが使われるというのが実状ではないでしょうか。

“data”、“information”、“intelligence”

なぜ“BI”をお手軽ダッシュボード表示システムのように捉えてしまう人が多いのかを考察すると、“intelligence”という言葉が原因ではないかと考えました。
理由は、英語では、“data”、“information”、“intelligence”と明確に分けて使われているのに対し、日本語ではそれらを“情報”と1つの言葉でまとめられたり、3つの単語について別々の解釈でコミュニケーションが行われたり、メディアで使われたりしているため、“BI”を視覚的にインパクトがあるダッシュボード作成ツールという捉え方になってしまうのではないかと推察されます。

そこで、3つの言葉を筆者なりの解釈で、次のように定義したいと思います。

Data:システムなどから生成される数字や文字列
Information:Dataを関係者が決めた共通のルールにしたがって、理解しやすく成形された表やグラフ
Intelligence:Informationを元に行った分析・推察・意思決定。

このように定義すると、多くの人が持つ「“BI”はダッシュボード作成ツール」という捉え方は、同じ“BI”でも”Business Information”となり、本来の意味より経営的な視座が低くなってしまいます。このような考え方でBIの導入を検討すると、自社の業務で意思決定が必要な要件は何かという観点が放置され、「あのツールの方がキレイとかカッコいい」といったことに評価軸を置いてしまいます。その結果として、せっかく導入したのに、誰も見ないカッコいいダッシュボードができることが起きてしまうのではないかと考えられます。

“Intelligence”にするための必要条件

“BI”を簡単ダッシュボード作成ツールではなく、定義通り“Intelligence”として使うための必要条件について考察したいと思います。これも前節の“情報”における3つの定義をもとに説明ができます。つまりdata→information→intelligenceとなるため、正しく、十分な量のdataがあること(以下data品質と記載)が必要な条件となります。

ただし、営業管理においては、このdata品質を保つことが最も難しいと言えます。営業管理を行う上で、“BI”に必ず搭載する予実管理を例に考えます。
実績は、販売実績や人間の行動情報などのdataであるため、

  • 過去の事(不変)であること
  • センサー、ログ、伝票などで機械的に取得可能であること

から一定以上正確性が保証されます。それに対して予測は、受注見込み案件を含めたdataであるため、

  • 人によって案件とみなす定義にばらつきがあること
  • 受注確度や受注予定日といった不確実性が高いdataを扱っていること
  • 人が能動的に入力しないといけないため、入力漏れや重複が起こりうること

から、data品質を保つことが非常に難しいです。
もちろん、受注見込み案件dataの品質を問わなければinformation(結果)自体は出せるので、ダッシュボード作成ツールとしての目的は十分果たせます。しかし、それではintelligence(意思決定)に使えません。使えないだけならまだ良いのですが、間違ったinformation(結果)をもとにintelligence(意思決定)がなされてしまう可能性があります。
他にも会社情報などのマスタデータ品質の維持も重要なのですが、それは過去記事「顧客マスタについて考える」をご覧ください。

以上より営業管理で“BI”を武器として使うためには、“BIツール”の良し悪しよりも、data品質を維持する体制づくりを優先する必要があります。

“BIツール”を検討するうえでのアドバイス

逆にいえば、data品質を維持できる運用体制ができていれば、わざわざシステムを導入しなくてもexcelをはじめとした表計算ソフトでinformationの準備と意思決定ができるかもしれません。なぜならB to B営業では、扱うデータ量が数万件単位なのでAIによる推測なども使えない(データ量が少なすぎるため)ですし、センサーデータとの統合(最新技術の連携の対応)なども必要無いからです。“BIツール”を導入するにしても、どのツールでもおそらく標準機能で要件が満たせられるでしょう。
そのため、自社でdata品質を維持できる体制やノウハウがあるのであれば、費用面や実績、マニュアルなど学習するための資料の充実性などの観点でツールを選択すれば良いでしょう。そのような体制、ノウハウが無い組織の場合は、一緒にdata品質向上に取り組んでくれるベンダーを選択することが良いかもしれません。

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