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顧客マスタ内の地域属性を扱う運用テクニック

顧客マスタ内の地域属性を扱う運用テクニック

今回は、顧客マスタにほぼ必ず存在する(ただし活用されているとは限らない)地域属性について考えたいと思います。

重要なことは、最初に地域属性の用途を考えること

地域属性は国、全国八地方区分(関東など)、都道府県、市区町に至るまで様々な粒度があります。現在のSFAのほとんどは、その項目を簡単に用意することができます。しかし、情報を正しく入力し維持することは難しいです。これは地域属性に限ったことではないのですが、大抵のシステム管理者はマスタを構築する際に、細かい情報がある方が良いと考えて、細かく項目を定義します。しかし、実際に使うユーザーからすると、入力こそが最も面倒な作業であるため、「入力したデータを何に使うのか?」という目的が不明のままだと、時間が経過するにつれ、選択肢の一番上の値を選択するなど、入力が不正確になっていきます。

そのため、項目を追加する際には、必ずその用途を明確化することが重要です。例えば、「特定地区に注力する」「地域で担当者を分ける」が挙げられます。このように目的を明確化することで、

✔ どの粒度まで管理するかが決まる。

前者の目的の場合、極端な例ではありますが、地域属性を「東京」と「その他」の2種類で管理ができます。このように管理することで、所在地が東京都以外の顧客はターゲットとして考えないという明確な戦略になります。

✔ ユーザーが目的を理解した上で入力するため、精度が上がる。

後者の目的の場合、営業人材がデータを正しく入力しなければ、自分の顧客(見込を含む)として確保ができなくなるといった効果が出ます。

おすすめは、デジタルマーケティング上の地域と粒度を合わせること

私は、SFAの導入コンサルティングと同時にデジタルマーケティングのコンサルティングも行っています。デジタルマーケティングにおいて、BtoBとBtoCの商材を扱う際に最も重視しているのは、コンバージョン(問い合わせなどの目標達成を表す言葉)だと考えています。BtoCではWEB上での販売が主流(高額商品を除く)であるため「コンバージョン≒購入」となり、つまりゴールです。一方で、BtoBでは大部分が「コンバージョン≒問合せ」であり、それが提案活動のスタートとなります。そのため、デジタルマーケティングツール上でアクセスされた地域の情報は当然わかりますが、重要なのは受注に結びついた地域の顧客量です。そのため、デジタルマーケティングでの広告の投下地域の粒度を顧客マスタにも持たせることで、その効果測定が可能となり、広告の運用改善のための貴重な情報となります。

上海でサポートしている顧客の事例を紹介します。その企業では、元々顧客マスタの地域属性を華東地区、華南地区などの非常に大まかな粒度で管理していました。しかも、その粒度が決められた理由も特にありませんでした。その結果、顧客マスタ上の地域属性は、選択肢の一番上の値が選択された顧客データが異常に多い状況になっていました。そこで、広告の効果を向上させることを目的に、広告出稿地域と同じ粒度(直轄市+省の粒度)で管理するよう運用を変更したところ、目的が明確化されたことで各営業担当者の情報入力精度も向上しました。得られたデータから、市場ポテンシャルが高い地域に広告予算の比重を高めるという判断が可能になりました。

地域属性管理の運用テクニック

ここまで地域属性の管理に関する考え方を述べましたので、以下では管理テクニックについて述べたいと思います。

① 連動型選択肢ができないSFAは選択しない

連動型選択肢とは、大地域を選択した後に関東地方を選ぶと、その中から1都6県が選べるようになる選択肢のことです。このような機能がないツールや柔軟性に欠けるSFAは、地域属性管理に限らず情報の矛盾を招きやすいため、SFAの選定から外すことをお勧めします。

② 社内独自の地域を管理する場合は、客観的な地域属性も併せて管理

社内独自の地域(例: Aエリアなど)は、相対的な定義であり、営業組織の体制や販売戦略の変化によって意味を失うことがあります。そのため、客観的な地域属性も併せて管理することで、社内独自の地域の見直し時にデータ整備が容易になります。

③ 住所情報は受注後に入力する運用ルールでも問題ない

営業アシスタントや名刺読み取りサービスを導入している組織では、住所情報の入力作業は問題になりません。しかし、そうでない組織では入力作業が課題となります。見込み段階では住所情報の入力は必須ではなく、受注後に入力することで営業管理において効果的です。

以上が地域属性に関する記述です。営業業務において、もっとも時間を要するのは、「商談」や「資料作成」ではなく実は「移動時間」です。TV会議などの新たな手法も浸透していますが、顧客との関係構築においては依然としてFace to Faceの商談が重視されます。そのため、移動時間を考慮した営業活動が重要です。地域属性という情報を活用し、目標達成に向けて努力されることをお勧めします。

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