1. HOME
  2. ブログ
  3. コラム
  4. SFA
  5. SFAで管理する顧客の粒度について考える

BtoB営業ブログ

BLOG

SFA

SFAで管理する顧客の粒度について考える

SFAで管理する顧客の粒度について考える

SFAで管理する顧客の粒度について考える“では、SFA上で扱う顧客の範囲に関して解説しました。本記事では、顧客マスタを構築する上でもうひとつの基礎工事となる『顧客の粒度』について解説します。

『顧客の粒度』の定義

顧客の粒度の定義とは、一つの顧客を会社単位とするのか?事業所単位とするのか?部門単位とするのかを決めることを指します。

この定義は、自社の営業組織が販売している商材の利用範囲や、提案対象(部門、役職など)に関して問いを立て、それに答えていくことで導き出すことができます。例えば、マナー研修や新人研修などの商材でしたら提案対象はほぼ間違いなく顧客の人事部という回答になると思います。そして人事部は基本的に各社に1つとなるため、研修を商材としている会社の顧客粒度は会社単位となります。同様に、空調やネットワーク保守に関しては、顧客の各事業所で決裁されることが多いので顧客粒度は事業所単位となります。また、計測器のような商材の場合は顧客の研究開発部、学校の研究室といった単位で購買活動がされるため、粒度は部門単位になります。

筆者が「SFAを導入される際には顧客の粒度を定義しましょう」とお伝えしても簡単にイメージできないことが多いため、コンサルティングの現場では、前述したように説明することで多くの方に顧客の粒度を定義することの必要性をご理解いただいています。

顧客の粒度を定義すると決裁者が見えてくる!

顧客の粒度を定義することの効用は、SFA上でデータを取り扱いやすくなること以外にもあります。それは、営業組織内で各営業担当者が顧客側のキーマンや決裁者をこれまで以上に意識するようになることです。営業組織の現場で頻発する問題として次のようなことが挙げられます。

営業担当者からの商談報告の情報を客観的に見ると、あくまで営業担当者と顧客側の担当者同士で盛り上がっているだけの内容にも関わらず、営業担当者が「お客さんが〇〇を必須要件と言っているので次回の面談までにその要件を満たすデモ(サンプル)を提出したい」と一方的なお客様至上主義を盾に技術者を無理やり説得してデモ(サンプル)準備を要請。技術者が工数をかけてデモ(サンプル)を作成して、商談でプレゼンしたものの、顧客側のキーマンや決裁者からは「この提案は良いと思うけど、マスト要件というよりはあったらいい程度だね」といったコメントしか返ってこず、結局は案件が進捗しないまま骨折り損のくたびれもうけになってしまった。

このような問題を今後起こさないようにするためにも、顧客の粒度を意識することは極めて肝要です。上記の例を取ると、もし営業担当者が、自社が扱う顧客の粒度を意識できていたとしたら、やり取りしている顧客側の担当者から聞いた要件が、その担当者(顧客の粒度=個人単位と定義)の要件なのか、意思決定に参画する部門の要件(顧客の粒度=部門と定義)なのか、会社の要件(顧客の粒度=会社単位と定義)なのかを掘り下げて考えられたはずです。また、仮に営業担当者が上記と同様の営業の進め方をしたとしても、上司や技術者が営業担当者から得られた情報に対して、どの粒度での要件かという質問をすることで、案件の進捗に必要な今後のアクションを検討するより深い議論が生まれるでしょう。

あるべき顧客粒度を意識した上で現実的な運用を考える

一方で、例え顧客マスタにて管理する顧客の粒度を部門単位とすることが自社の顧客マスタの理想であったとしても、実際に日々の運用で部門単位を顧客マスタとしてデータ管理・維持することはほぼ不可能だと言えます。なぜなら、顧客の粒度を会社単位としたとしても顧客マスタを管理・維持することが難しい中で、非常に高い頻度で部門名や体制が変わる部門の情報を、外部の人間が適宜把握し、管理・維持することは事実上不可能だからです。

SFAはあくまでも小さく始めて少しずつ社員とともに成長させていくことが成功の秘訣なので、最初から不可能に近いことを現場の方々に要求してしまうと失敗の可能性を自ら高めてしまいます。そのため、SFAを導入する際は、営業組織全体で顧客の定義を明確化し、共通認識を持った上で、顧客マスタにて管理する顧客の粒度を会社単位もしくは事業所単位とするのがよいでしょう。

関連記事