SFAの運用活用レベル
今回は、SFAの運用に関するご相談を受ける際に、我々がお客様の現状を理解するために活用している「SFA活用レベル」についてご紹介します。
ご紹介するSFA活用レベルは、あくまでも弊社独自の定義です。また、弊社が考えるSFAの活用とは「利益創出のための活用」を目指し、お客様の改善や運用を支援するものです。そのため、この定義は機能の使用有無や作業効率化といった観点ではなく、人材育成や組織運営の観点に重点を置いています。
本レベル定義は、主に営業責任者の方に、自社のSFA運用状況を把握し、業績向上に向けた課題を設定していただくための参考としてお役立ていただければ幸いです。
案件管理(商談管理)の活用レベル
BtoB営業において最も重要となるのは、やはり案件管理です。他の活用方法については一旦後回しにしてでも、案件管理の活用レベルを徹底的に引き上げることが効果的かもしれません。
Lv. | 定義 |
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0 | システムとして存在はする |
1 | 見込案件が出揃っていて各自が抱えている案件の総数が把握できる状態である。 |
2 | 各案件の現状とNext Actionが把握でき進捗確認会議などに活用されている。 |
3 | 受注見込時期、売上、粗利を使って見込も含めた売上/粗利予実集計に活用できる。 |
4 | 案件属性(きっかけ、新規・既存、製品群など)が整備され傾向分析が可能になり、営業戦略を立てるための判断材料として活用できている。 |
連絡先の活用レベル
既存顧客からの収益が多いビジネスモデルでは、顧客との接点を継続的に保つことが非常に重要です。しかし、これを個々の営業担当者に任せるだけでは、どうしても主観的な判断や好き嫌いによるフィルターがかかり、知らない間に他社に顧客を奪われるリスクが高まります。そのため、最低でもレベル2の状態を目指し、組織として顧客との接点を維持しながら、機会損失を防ぐ体制を構築することをお勧めします。
Lv. | 定義 |
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0 | システムとして存在はする |
1 | 見込・既存案件の顧客や代理店の窓口が整備され、何かあった時に誰に連絡すればよいかわからないという状況ではない |
2 | 営業活動で獲得した連絡先全てを登録する体制を作り、連絡先情報から提案中案件の決裁者やキーマン接触有無が把握できる。 |
3 | 問合せからの引き合いや、展示会などから得た連絡先を登録する体制を作り、各施策の効果測定(未取引エンド顧客数など)として利用できている。また、問合せを受けてから結論が出るまで放置しない仕組みや、展示会後に見込み客に対し営業をアサインしフォロー連絡する運用などの『見込み客情報を取得してからが始まり』という体制が出来ている。 |
4 | メルマガ配信などを定期的に行い、同時に連絡先のデータ鮮度が維持され、掘り起こしによる引き合いが定期的に獲得できている。 |
会社マスタ(取引先マスタ)の活用レベル
簡単ではありませんが、案件管理や連絡先の管理と並行して、自社の情報を単なるデータの塊から情報資産へと育て上げることができれば、事実に基づいた現状把握が容易になります。それにより、意思決定の際には大きな武器となるでしょう。
Lv. | 定義 |
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0 | システムとして存在はする |
1 | 重複を防ぐ体制や機能の実装、そして外部属性(地域、資本金、業界など)を整備する運用が定着することで、システムが単なる入力用の「箱」から、営業戦略立案などの意思決定を支える「情報資産」という位置づけになっている |
2 | 販売先や代理店が販売管理システムと連携し、SFA上で販売実績情報を元にした属性(最終取引日、直近1年取引額、件数)が把握でき、既存顧客に対するアタックリスト(リプレース提案リスト)などが作れる。 |
3 | 顧客との接触履歴が商談報告だけでなく、アフターサービス部隊にも浸透し、放置顧客(取引があるだけで全く接触してない顧客)が見える化され、フォローしなかったことによる取引停止リスクを最小化する体制ができている |
4 | 案件、連絡先がLv4の状態で顧客の内外属性を含めた動向分析ができる。また掘り起こしアタックリスト(○○業界資本金XX円以上)などが作れており、実践できる。 |
営業組織としてのSFA活用レベル
この指標は、その状態を直接目指すものではなく、上記の3要素をレベルアップさせていくことで、結果的に組織が以下の定義された状態になっていくことを示しています。そのため、SFAは単なるITシステムの枠を超え、営業部長などの責任者が直轄するプロジェクトとして進めることが望ましいです。さらに、各活用レベルアップに向けた課題の優先順位付けや、それを推進するための人事評価の見直しを行いながら進めることが求められます。
Lv. | 定義 |
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0 | 情報がメールに埋もれなくなったから便利 |
1 | 活用は実感できていないがSFA上で通常業務が動いている |
2 | 定例報告用に別途資料を作成する必要がなく作業の抜け漏れが減少し、各自が手元の業務レベルでの活用を実感している。 |
3 | 営業担当者個人レベルで目標達成に向けた差異分析を行うことができ、リカバリや種まきのための活動目標が立てられる |
4 | 組織レベルで目標達成に向けた差異分析を行うことができ、リカバリや種まきのための活動目標が立てられる |