SFAコンサルタントが考えるすごい営業パーソン
今回は、個人レベルでのSFA活用にフォーカスをし、筆者が出会ったすごい営業パーソンの特徴について個人的見解を述べたいと思います。
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「すごい営業パーソン」は、自身を(個人レベル)商社と見立て、継続的収益に強い責任を持っている
営業パーソンと商社は、個人と組織という違いがありますが、基本的にビジネスの構造が同じです。営業パーソンは、社内外のリソースを仕入れて、そこに利益を乗せて顧客へ提供することで売上を立てます。営業パーソン自体が、主業務としてサービスを提供することや、製品をつくることは稀です。商社も同じで、サプライヤーから仕入れて付加価値を加えて顧客へ提供し、売り上げを立てています。自社で製品・サービスをつくることは主業務としておりません。
筆者がすごいと思う営業パーソンは、「自分自身を個人事業主の商社」と見立て、自身が稼ぐ利益に対して責任を持ち、一時的ではなく継続して業績を上げつづける人です。
言い換えれば、そのすごい営業パーソンは、「短期・中期・長期それぞれの時間粒度における利益最大化に向けた活動」を常に考え、実際に行動していると言えます。そのため、「すごい営業パーソン」のSFAに登録されている案件を見ると、当四半期(実際は、商材によって時間粒度は異なりますが、今回は粒度を四半期とします)に受注できる案件、翌四半期に受注できそうな案件、半年後に動きそうな案件を常に一定数抱えており、常にそのような状態を保つための活動をしています。
一方、業績の芳しくない営業パーソン(以下「すごくない営業パーソン」と表現します)は、基本的に当四半期の案件のことしか考えられていない傾向があります。具体的には、当四半期で目標達成できそうになったらそれで満足してしまい、活動量を減らす。もし、目標達成できなさそうなら、せめて手持ちの案件だけでも受注させるために全力投球するといった活動方法になります。目標達成できるできないに関わらず、共通することは、翌四半期以降の受注につながる行動が不足してしまうということです。このような営業の仕方だと、毎四半期の期初に、案件獲得から始めなければならず、自転車操業のようになり苦しい状況が続いてしまいます。
「すごい営業パーソン」は「損切り」ができる
上記の「異なる時間軸で案件を常に持ち続ける」ことができる「すごい営業パーソン」と、それができない「すごくない営業パーソン」の違いを見ると、「すごい営業パーソン」は、「損切り」ができているのではないかと仮説が立てられます。
「損切り」とは、投資用語で投資による損失がこれ以上拡大しないようにする行為のことを指します。「損切り」は、株式投資に関する書籍を読むと必ずと言っていいほど、成功法則の一つとして出てくる言葉です。多くの人が、知識として「損切り」の重要性を知っていて、そして「損切り」という作業そのものは簡単であっても、実際はそれが出来ないため多くの人が投資で成果が出せないと言われています。
この「損切り」を営業行動に置き換えると、「自身が取り組んでいる案件に対して、ある一定の基準を満たさない場合に、これ以上活動しても受注できないと判断して、優先順位を下げるか、失注扱いにして別の案件に取り組む行為」と言えます。
筆者は仕事上、顧客の営業会議に出席することが多いのですが、営業会議に出席すると、「すごい営業パーソン」と「すごくない営業パーソン」では、発言とSFAに登録されている案件で大きな違いがあります。
「すごくない営業パーソン」は、営業会議でマネージャーから案件が進捗していない理由を問われたり、他の案件に注力するようアドバイスをされたりしても、「せっかく獲得した案件だから、もったいない・・・」や「もしかしたら動くかもしれない・・・」といった発言をします。また、SFAに登録されている案件を見ると、長期間ステータスが変わらない案件が溜まっています。これらの状況から、先程挙げた「損切り」ができずに、ずっと同じ案件を取り組み続けていることが想像されます。
それに対して「すごい営業パーソン」は、「キーマンにたどりつけないから、この案件は一旦失注にしました」や、「やりとりしている人が要件をまとめきれていないので、連絡が来たら対応するよう優先順位を下げました」といった発言をします。「すごい営業パーソン」に共通していることは、マネージャーから言われなくても、明確な理由を持って自ら判断して然るべき行動ができているということです。また、「すごい営業パーソン」はSFAに登録されている案件のステータスを常に更新し続けられており、受注予定日も正確に管理できています。 つまり、受注確度が不明な案件は「損切り」をして、次の案件獲得や確度の高い案件進捗に注力ができています。「すごい営業パーソン」は、継続的収益に責任を持てていることから、自然に「損切り」を行っているのではないかと筆者は考えております。
SFAを「損切り支援ツール」として活用することを検討する
SFAを使用した案件管理では、案件のステータスや、ネクストアクションあるいは直近活動日などのデータを管理されているはずです。「顧客と毎月接触しているが、3ヶ月間ステータスが変わらなかったら一旦失注にする」など、ぜひ自分なりに「損切り条件」を決めて、SFAで管理することを検討してみてください。
最後に、一定期間動かない案件を強制的に担当者からはく奪する「Public Ocean」という機能を実装した海外製のSFAを見たことがあります。まさにこれは、組織として「損切り」を強制運用するという発想を元に作られた機能であると思われます。