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顧客マスタ内の業種・業界・業態を扱う運用テクニック

顧客マスタ内の業種・業界・業態を扱う運用テクニック

今回は、多くの企業が管理している顧客マスタ内の業種、業界、業態データの運用方法について考察します。

業種、業界、業態の定義を正確に理解していますか?

おそらく多くの方がこの問いに対して、3つの用語の定義を調べたことでしょう。これらの用語はビジネスの世界で頻繁に使用されますが、多くのビジネスパーソンがそれぞれを曖昧な定義で使用しています。特に、「業種」「業界」などは、単一の用語として曖昧に使用されているように感じられます。

SFAを運用する際には、「定義が曖昧→入力が不適切→使えない不正確なデータが生まれる」というSFA導入の失敗パターンに注意しなければなりません。したがって、企業が顧客マスタ内で業種、業界、業態を管理することを決定した場合は、まず定義を明確にし、それに基づいて運用することが必要です。

定義を明確にしても情報を正しくすることは不可能に近い

例えば、業種を管理する際に、多くの会社様がなるべく正しいデータで管理したいということで総務省が公表している日本標準産業分類などを利用します。具体的には下記となります。

  1. 農業、林業
  2. 漁業
  3. 鉱業、採石業、砂利採取業
  4. 建設業
  5. 製造業
  6. 電気・ガス・熱供給・水道業
  7. 情報通信業
  8. 運輸業、郵便業
  9. 卸売業、小売業
  10. 金融業、保険業
  11. 不動産業、物品賃貸業
  12. 学術研究、専門・技術サービス業
  13. 宿泊業、飲食サービス業
  14. 生活関連サービス業、娯楽業
  15. 教育、学習支援業
  16. 医療、福祉
  17. 複合サービス事業
  18. サービス業(他に分類されないもの)
  19. 公務(他に分類されるものを除く)
  20. 分類不能の産業

こちらを利用することで定義自体は明確になりますが、実務においては、次に挙げるような問題が発生します。

問題1. 複数業種を持つ企業

無印良品で有名な株式会社良品計画はどの業種に分類されるのでしょうか?最初に考えられるのは小売業ですが、実際にはレストランやホテルも経営しており、宿泊業や飲食サービス業にも該当します。さらに、住宅事業も手がけているため、建設業にも分類されます。つまり、企業は必ずしも単一の業種に属しているわけではありません。多くの企業では、業種別の売上や受注件数を把握するために、単一の業種を選択肢として定義しますが、実際のビジネスでは、複数の業種に所属する企業が多数存在します。システム上、複数の業種を選択することは可能ですが、業種別の売上や受注件数を集計する際には注意が必要です。一般的な集計ツールを使用すると、同一レコード内に選択されたすべての業種が計上され、重複して集計されてしまう可能性があるため、単一選択肢とするか複数選択肢とするかを慎重に判断する必要があります。

問題2. 入力者によるばらつき

さらに問題となるのは、残念ながら名刺などには、自社がどの業種であるかという情報が記載されていないことです。したがって、定義を明確にしても、入力者の判断によって業種の分類が異なってしまう可能性があります。例えば、株式会社良品計画の場合、一つの入力者は “(9) 卸売業、小売業” と設定し、別の入力者は “(17) 複合サービス事業” と設定するかもしれません。その結果、先ほどの「業種別売上・受注件数」の結果が変わってしまうことになります。入力者によるばらつきが生じる運用方法では、営業管理者が誤った情報を元に施策を検討してしまう可能性があります。

利用用途を具体的に決めてから項目定義に落とし込む

筆者の経験から言えることは、営業活動における業種・業界・業態データの有用性は、単なる集計以上のものであり、むしろ優先的に提案する営業先リストを作成することが重要だと考えています。

具体的には、以下のような方法があります。

  1. 自社の製品・サービスが最も売れている業種を把握する。
  2. 自社の顧客マスタ(見込み客)で上位の業種をリストアップし、アポを取る。
  3. 商談時には、○○業種の事例を持って提案に臨む。

このように、目的を明確にすることが重要です。これらの活動では、客観性や厳密性よりも、自社の製品が売れそうな見込み客を特定することが主眼となります。したがって、定義を社内で納得のいくものとし、上述の活動を実施する際に毎回リストを見直すことが重要です。入力間違いや漏れが起こりやすいため、定期的な見直しが必要です。

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