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“名刺の未来”について考える

"名刺の未来"について考える

今回は少し肩の力を抜いて、「名刺の未来」について個人的見解を述べたいと思います。

無くなると言われ続けてまだ無くならない名刺文化

筆者は、社会人になってからずっとSFAに関わってきました。15年以上前になりますが、「もうITの時代だから名刺というのは数年で無くなるだろう」という話を仲間内だけではなく、商談先等でもしていました。しかし予想に反して本記事執筆時点の2022年でも名刺はしっかり使われているのが現状です。さらには名刺管理サービスで有名なSANSAN社は、2019年に上場を果たすなど名刺は廃れることなくまだまだ活躍する可能性が高いようです。

日本では名刺は形式的に使われ続けると考えられる

名刺の目的はあくまでも連絡先交換ですので、本来ならばここ数年における、スマホやクラウドなどの技術革新、SNSやチャットツール、リモート商談の普及によって、目的から考えれば名刺はすでに不要になっているはずです。ただ、それでも日本においては名刺の役割は少なくとも今後10年は変わらないのではないかと筆者は考えております。

なぜならば、ビジネスの世界においてはどうしても顧客の意向を優先せざるを得ないからです。
個人間においては、基本的には対等な関係でのコミュニケーションとなります。現在はSNSの利用が一般化されており、大多数の方がFacebookを始めとしたSNSや、LINEを始めとしたチャットツールを利用しています。仮にSNSもチャットツールも使わないといった世の中の流れに逆らう人がいたとしたら、同じ連絡手段を使用していないことを理由に、その人への連絡はだんだんと少なくなっていきます。大抵の人はその状況になると困るので、世の中の流れに乗らざるを得なくなります。

一方でビジネスであれば、どうしても顧客とサービス提供者という関係になるため、「注文はFAXでしかしない、それができないなら仕入先を変える」といったことを言われてしまえば、どうしてもFAXを使い続けなければならなくなるというように、どこかの顧客が「名刺を持ってないとは何事だ」と言われビジネスを失うリスクを回避するために、これからも日本では名刺を持ち続けるのではないかと考えております。つまり、実際は実務では不要だが慣習としてまだまだ名刺は残るのだろうということです。


すでに中国では名刺は販売員しか持っていない

一方お隣の中国では、スマホの普及率がほぼ100%です。そして、チャットツールとしてwechatの利用率もほぼ100%という状態のため、中国系企業間ではすでに商談時に名刺交換をすることが無くなっています。極端にいえば名刺を持っているのは、今や不動産の営業や、アパレル販売員など個人向け商材を販売している人達ぐらいかもしれません。それらの人と安易にwechatを交換してしまうと、とにかく営業されるので、大抵の人は必要性がない限りwechatを交換しません。そのため、「今後必要になったら私に連絡してください」という意味で、営業が顧客と浅いつながりを保つことを目的に名刺は使われています。当然、名刺の記載内容はメールアドレスでも電話番号でもなく、名前と自分のwechat QRコードです。

ただし、この状態はあくまでも個々のwechatを利用して連絡先交換をしているだけなので、組織的な顧客データベースを作る行為と逆行しています。しかしながら、近年は企業版wechat(ラインワークスの進化版のようなもの)の利用がどんどん広がっており、顔写真、正式社名、役職、電話番号などの情報も付与したデータとして連絡先交換ができるようになりました。2020年にはこの企業版wechatでは、所属する社員が交換したwechatの連絡先情報を企業としてデータベース化できるようになり、その機能は日々進化しています。この機能によって、wechatの交換をすることで自動的に企業としての連絡先データベースができるようになったのです。今後、例えば日本の帝国データバンクのようなビッグデータ提供サービスとの連携など、更に機能が洗練されると、企業wechatを導入した企業は、正しい企業情報と連絡先情報を持った顧客データベースを容易に構築できるようになるかもしれません。そうなると営業・マーケティング活動のDXという面において大幅に前進するでしょう。

真の意味でのSFAの普及のためには

すでにSFAを導入している企業は多いですが、SFAを必須ツールとして活用できている企業はまだまだ少ないと言わざるを得ないと思います。SFAを使いこなすにはどうしても精度の高い顧客データベース構築が必要不可欠となり、このデータベースができることで初めてSFAの利用価値が高くなると言っても過言ではありません。そのためには、名刺情報を始めとした顧客連絡先情報のデータベース化を、営業現場のメンバーに定着させることが、必ず解決しなければならない難易度の高い課題となります。筆者は個人的に、可能であれば日本も中国同様に名刺による連絡先交換の文化が縮小してくれることを願っています。しかし、こればかりは市場が決めることなので、市場の変化に応じて顧客連絡先のデータベース化に関する最適な運用提案をしていくしかないと考えています。

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